2021年は、1月に「寄り道」としての個展を開催しました。花魁とかむろの日常をテーマにした、水彩と色鉛筆による紙作品の展示でした。これは私にとってイレギュラーの展示でした。
そして、6月か7月に予定していたタブローの個展は開催しませんでした。そのことが一番きつかったです。
制作しているのに、発表出来ないつらさ…けれど、開催しないことを選択したのは私本人でした。
理由は、その画廊で個展をすることに、心が動かなくなっていたからです。これはもうだめだ、と思いました。ウソは付けませんでした。
私としてはかなり思い切った選択でした。
展示は作家の生命線ですから。
心が動かぬまま作品だけ預ければ、私は間違いなく、じぶんを軽蔑し、作家としての根っこが腐っていくような感覚に耐えられなかっただろうと…大げさではなく思います。
画廊さんには迷惑をかけてしまいましたが、画廊さんも薄々何かを感じていたのだと思います。
そんな時に渡りに船だったのか、安曇野の画廊さんからグループ展の話を頂いていたので、グループ展にちからを注ぐことにしました。個展が出来るくらいの作品を制作し、そこから9点選び発表しました。
安曇野では初の展示でしたので、代表作になりえるタブロー作品と、今までなら却下されるであろう作品を送りました。
安曇野の画廊は、雑誌の表紙絵を長年に渡り担当されている画家の成瀬さんがオーナーで、作品について助言を頂くことが出来ました。それはとても新鮮で、頭の中に、つつつ…と風が通るようでした。
本気で臨んだら、本気が伝わった。逆も然り。これはとても良い経験でした。
ちいさな大冒険ではありますが、私なりに清々しい気持ちがありました。
こうやって描いて行けばいいんだという手ごたえがありました。
今は、来春の個展に向けて、制作していて、とても有り難く思います。
わーっと、胸がスッとするような作品が描けたら最高です。
一見、コロナで足止めを食らったかのようで、じつは見詰めなければならない問題があぶり出されたような年でした。
くすぶっていることは、自ずと明るみになり、無視出来ないものだと痛感しています。