月に一度有るか無いかですが、密かに喫茶店の手伝いをしています。アルバイトの方がお休みで他が見つからない時などの臨時要員として。時々なので、動きも悪く、食器洗いやお客さんから注文をとるくらいで、まさに猫の手、絵描きの手。じぶんには向かない仕事と自覚しつつも、これもご縁、役回りとお引き受けしている次第です。
店主から「近所のパン屋さんににパンを取りに行って」と指示があり、エプロン姿のままひょいと商店街に出て外の風に当たると、なんだか奇妙な気分になります。「喫茶店で働くエプロン姿の私」が商店街を歩いている…非日常的なことだが、もうひとりの私にとっては「日常」なのでは…ここは、パラレルワールドなのか。これは私が選ばなかったもうひとつの私の人生なのではないか…?絵描きでない人生。喫茶店で働いている人生。街に溶け込み、穏やかで、油絵の具のにおいを知らない人生…。
束の間の白昼夢。2本のパンはけっこう重く、形を崩さないよう慎重に運びます。パラレルワールドはいくつもあって、同時進行しているとか。
次はどこへ行こうか。