「田舎は暴力です」
6年くらい前に早世した知人で美術家のUさんの手紙にそう書いてあった。
Uさんは風変わりな人だった。
共通の知人から訃報の電話が入った時、私は電話しながらずっとガタガタ震えていた。
足から掌から、首から、脇の下から、冷たい汗がタラタラタラタラ流れてきた。
確か夏の終わりくらいだった。
信じがたい「事故」だった。
こわかった。
生前、私はUさんから、何通か手紙を頂いていた。
そのうちの一通に書いてあった一行をたまに思い出す。
「田舎は暴力です」
ご家族の用事で四国のご実家に帰られて、東京に戻って来た後に、その手紙を書いたようだった。丸文字の手紙はタバコ臭かった。
詳細は分からないが、とても傷ついたのであろう。
誰かの悪気のない無邪気さに傷つけられたのだろう。
(それを思うと、芸術家にとって都会は優しいよなぁ。)
(私はちっともUさんに優しく出来なかったけど…。)
神様が見兼ねてUさんを連れていっちゃった。
そんなふうに感じたのは私だけだろうか。
Uさんのお仲間にも、しばらく会えていない。