友人にパンを頂いた。
素朴な、とても美味しいパンだった。
人形町にある、ふたごのおじいちゃんが店頭に居るパン屋さんで購入してくれたそうだ。
それがずっと気になっていて、ちょうど機会があったので調べて立ち寄ってみた。
そこは、「まつむら」という老舗のパン屋さんらしい。
昭和の面影を残す店内で、昔ながらの美味しそうなパンを5つくらい選んでレジに向かった。
そしたらいらっしゃった。
お爺ちゃまがレジにいらっしゃった。
これが噂のふたごのお爺ちゃまのおひとかたか…
きれいな佇まいのお爺ちゃまに手際良くお会計をして頂き、お爺ちゃまのひとりに会えて縁起の良い気持ちがしたので、店内のイートイン出来る場所で、購入したパンを頂くことにした。
ふたごのもうひとかたは今日はいらっしゃらないのだろうか、と私の座ったテーブルから、厨房へ続く入り口をふと見たら…、
お爺ちゃまがふたりいた。
分身の術のように、ふたり居た。
あ…
え…⁈
と、つい二度見してしまった。
瓜二つのお爺ちゃまだ。
ふたごだ…!
何とも言えない感動があった。
お二人の雰囲気は緩やかで余りにも自然で、邪悪を寄せ付けないようなオーラを放ちていた気がする。
きれいな佇まいで仕事し続けて居られるって素適だ。
こういうの、いいな〜…。
このお二人のように、ずっと現役で仕事をしたいと思った。
このふたごの仕事人に、「いつまでもお元気で」などと言う気になれない。
まるで「お年寄り」を労わるような口の利き方はしたくないと思った。
そんな事言ってしまったら、心がきゅうっとなる。
玉手箱を開けたら、「老人」になってしまう、みたいな。
(…この感覚、分かりますか…?)
当たり前のようにこの風景の中に居続けてくださるのだろう。
きっとまた伺う。
次回は昭和っぽいドリンクも注文してみよう。