「昨日の怒り、今日のユウウツ」
「あちらとこちらの世界から」
「生活と絵画」
「世界は色付き私は透明になる」
「新しいシナリオ、新世界の手前」
「ひみつの部屋で光輝け」
…これらは、過去に開催された個展の
サブタイトルの一部です。
何か、ひとつの主題が浮かんでくるでしょうか。
私は長く「かお」を描いてきました。
ひとの内面を描きたかったからです。
それと同時に、
私の地下深くの水脈には、
「もうひとつのテーマ」が
静かに流れていました。
それは「境界線」です。
私は常に「境界線」に立って、
あちらとこちらの世界を眺め、
そこに漂うやわらかでヒリヒリとした緊張感を
半ば無自覚に、作品の素地にしていました。
昨日と今日、
あちらとこちら、
世界と私、
光と闇、
内と外…
それら陰陽の境界線の上で、
私は踊ったり、観察したり、
時に綱渡りをするように
絵を描いてきました。
私は "あちらとこちらの橋渡し”を
絵画という形を通して表現したいのだなと、
自覚しました。
清濁併せ持つ「ひと」のおかしみ、
うつくしさ、
そして陰陽を「ひとつ」に合わす祈りを
絵画にしていきたいと
いま静かに心に浮かべています。
2026’4月 門倉直子