2015/12/06




長年愛用していたクシを
床に落として割ってしまった。
真っ二つに割れた。

小さな悲鳴をあげてしまった。
……!


10年くらい使わせてもらったから、
時期だったのかもしれない。
デパートの伝統工芸展で購入した。
「おろく櫛」という銘柄だった。
ちょうど職人さんが居て、
見立ててもらった。
使いやすく気に入っていたのに。
さよならは突然だ。ショック。



しばらく経って、
新しく櫛を購入することにした。
ちゃんとした職人さんが居る店で
買いたいと思い、調べたら、
私のお気に入りの茶屋の近くに
櫛専門店があった。

創業は1736年から続く、老舗中の老舗。
「十三や」
9+4=13  で「十三や」
つげのくし屋さんだ。


早速伺い、見立てて頂いた。

職人さんに「どれくらい持ちますか?」と質問したら、

いやぁ、
それは1番難しい質問なんだけど、
昔は畳でしょう、
落としても割れることはなかった。
とかし方も、先ずは毛先をといて、
そのあと根元からとく。
だから長い髪に引っかかって
落とすことが無い。
昔は、
女の子はお母さんの髪のときかたを
見て覚えたけど、
今はブラシでやっちゃうでしょう?
根元から一度にとかそうとするから、
髪に引っ掛けて、
フローリングの床に落として割っちゃう。
だから、「何年もつ」とは言えない。
とかし方に気をつけたら、
永く使えるのでは。

と、説明してくださった。


なるほど〜〜と納得した。
確かに私も、とかしている途中で引っ掛けて、床に落としてしまっていた。





「物は、それを持つ人のために生まれてくる」
と聞いたことがある。
新しい櫛を迎え入れることが出来た。
永く愛用したい。