2025/05/15

ステイトメント2025’5

 たくさんのひと

 あの世とこの世、花の街は、

私の中で同時に存在している ~

 

この展示は、三つの表現で構成されています。

 

1, 虚と実の境界線をテーマにした群像シリーズ

あの世的なもの(夢想、空想の世界)から、

現実への着地を表現しました。

輪廻を繰り返し

感情に翻弄されてさまよう者が、

ふと我に還り、

覚悟を決めて地に足を着ける、

現実に気付き歩き出す。

 

2、『かお』シリーズ

いま現実(この世)を生きるひとの内面に、私自身の内面を投影して、

心理の側面から掘り下げつつ、

表情の妙を探ります。

 

3、『花の街』シリーズ

花街(遊郭)を舞台に、

花魁や禿(かむろ)たちの物語りを描きました。

この物語を描き始めたきっかけは、

喜多川歌麿先生の

「青楼十二時」シリーズの一場面

(花魁が夜中に厠(トイレ)に行くシーン)に打たれたからです。

そこに表現された気だるさ、

客を相手にした余韻と疲れが、

生々しく私の心身を貫き、

共振し、私を突き動かしました。

女性として生きる葛藤と喜び、

抱えている矛盾を

花魁に投影したのかも知れません。

それはいつしか、

廓(くるわ)の世界で生きたひとたちへ

手を合わせる気持ちとなり、

私の絵の中では

楽しい時を過ごしてもらおうと、

描くことに弔い(とむらい)の意味が

加わりました。

 

この三つの表現に共通するテーマがあるなら、

それは、浄化作業 かも知れません。

心情を見つめ、認め、清算していく。

私や誰かの感情、想いに

「おとしまえ」をつけようとしているのかも知れません。

 

じぶんに決着をつけて、

清々しい気分で身軽になったら、

あの世もこの世も思いのままに飛び回り、

時には花の街で、

あつあつの滋養強壮スープを

みんなで食べませんか。

 

本日は画廊までお越しいただき、

ありがとうございます。

 

                                                 2025年5月 門倉直子

2025/05/13

展示のお知らせ

 【個展のご案内】

八丁堀のアートアイガさんで展示がございます。


門倉直子 展

『たくさんのひと』


2025’5.15(木)-5.31(土)

13:30-19:00

日、月 休廊

5/20(火)休廊

画廊アート★アイガ

artaiga.com


数年ぶりとなるアートアイガさんでの個展は、3つの表現で構成します。

花街を舞台に、

十干十二支から着想を得て描いた

「花の街」シリーズ。

虚と実の境界線をテーマに描いた

群像シリーズ。

そして「かお」のシリーズ。

それぞれの表現で「ひと」を見つめます。

油彩15点、紙作品12点ほど発表予定。

よろしくお願いいたします。