土曜日の夕方、京橋の警察博物館辺りから銀座に向かって中央通りを眺めると、オレンジ色の夕焼けの中に銀座のネオン街がきらびやかに輝いていて、その景色は「個展搬出後の心細さ」の思い出を呼び起こしてくれる。
当時、もう15年くらい前になるけど…、個展の真っ最中というのは、世界の中心にじぶんがいるような感覚で、もう、ハレだった。ところが一歩画廊の外に出れば、誰も私の作品など知らない、銀座のあの景色がちっぽけな私をあぶり出してくれて、それがまた良かった。肥大した自我を程よく調整してくれた。小さな自分を抱きしめて、またがんばろうと思った。個人的な青春。情緒があった。
一週間よくやった、がんばった、と、ささやかな自己満足に支えられて、待っていてくれた友人らと居酒屋に行って軽い打ち上げなどして、孤独にならずに済んだことなど、ふいに思い出す。
センチメンタルで楽しかった。
月日は過ぎて、今はもう、搬出後のあの気持ちは遠い昔話になった。個展が終わっても、有り難いことに作品はそのまま画廊に預かってもらえるし、友人には殆ど案内状を出さなくなったから、当然待ってる友人もいない。打ち上げはひとりで東京駅の古い喫茶店でコーヒー飲んでホッとして、おしまい。生活に戻る準備をする。次回作を空想する。少し寂しい気分だが、この儀式もけっこう気に入っている。
先週、実に14年ぶり?に、京橋のアートスペース羅針盤に、数日間でしたが、作品を展示させて頂きました。急な展示でしたが、嬉しかったです。
あの頃は、不器用過ぎて、むちゃくちゃだったけど、楽しかった。
今も不器用だが、違う種類のむちゃくちゃを体験していて、それを抵抗力にして飛んでいるのかも。
がんばろう。