2025/08/28

『たくさんのひと/花の街』によせて

 たくさんのひと/花の街

~私の中に住まうたくさんのひとたちへ~


この展示は、いくつかの表現で構成しています。



1. 群像シリーズ

あの世とこの世の境界線の風景。

たくさんの感情の蓄積。

感情に翻弄される私たち。



2、『かお』シリーズ

いまを生きるひとの内面に、

私自身の内面を投影して、

一瞬に浮かぶ表情の妙を探ります。



3、木炭画(ドローイング)

木炭の質感は画面に独特のゆらぎを与え、

表現したい絵肌(マチエール)を叶えてくれます。



4、『花の街』シリーズ

花街(遊郭)を舞台に、

花魁(おいらん)や(かむろ)たちの物語りを

描きました。

描き続けるうちに、

廓(くるわ)の世界で生きたひとたちへ

手を合わせる気持ちになり、

私の絵の中で楽しい時を過ごしてもらおうと、

描くことに弔い(とむらい)の意味が加わりました。



私の中に住まうたくさんのひとたち、

わたしはあなたを描くことで、

私や誰かの感情、想いに

「おとしまえ」を

つけようとしているのかも知れません。

(おとしまえを付けねばならないことが

たくさんあるということでしょうか…?)

あなたはわたしがもっとも見たくない

私の一部で、

シャドウのような存在かもしれません。

あなたは私の中に居座りつづけようとしますが、

そうはいきません。

あなたの椅子はもうありません。

その椅子は、私のすばらしい友人のためのものです。



いつかじぶんに決着をつけて、

清々しい気分で身軽になったら

(ということは無いのだけれど)、

あの世もこの世も

思いのままに飛び回り、

時には花の街で、

あつあつの激養強壮スープを

みんなで食べませんか。


本日は画廊までお越しいただき、

ありがとうございます。


2025年8月

門倉直子