2025/12/16

祈るひと

私は、感情を感じることが

正しいことだと思っていた。

けどこれは、

感情を閉ざして生きるしかない人にとっては、

ささやかな暴力だったと気がついた。

私はもう、

そういう暴力を内包する絵は描かない。

(描けない)

感情は感じても、感じられなくても、

どちらでもいい。

好きにしていればいい。

私の作品は、お地蔵さんのように、

ただ在る

そういう存在に、戻っていく。

(これはつまり、

私の中の未解決が、解決したってこと。

けど、解決しても、させなくても

どちらでも大丈夫なのです)





2025/12/01

あちとこちらの世界から、今日も私は境界線を歩く

 「昨日の怒り、今日のユウウツ」

「あちらとこちらの世界から」

「生活と絵画」

「世界は色付き私は透明になる」

「新しいシナリオ、新世界の手前」

「ひみつの部屋で光輝け」


…これらは、過去に開催された個展の

サブタイトルの一部です。


(…何か、ひとつの主題が浮かんでくるでしょうか。)


私は長く「かお」を描いてきました。

ひとの内面を描きたかったからです。


それと同時に、

私の地下深くの水脈には、

「もうひとつのテーマ」が

静かに流れていました。

それは「境界線」です。


私は常に「境界線」に立って、

あちらとこちらの世界を眺め、

そこに漂うやわらかな緊張感を

半ば無自覚に、作品の素地にしていました。



昨日と今日、

あちらとこちら、

世界と私、

光と闇、

内と外…


それら陰陽の境界線の上で、

私は踊ったり、観察したり、

時に綱渡りをするように

絵を描いてきました。


…それを自覚した今、

私は  "あちらとこちらの橋渡し”

このお役目を

絵画という形を通して担っているのだと、

密かに直感しています。


清濁併せ持つ「ひと」のおかしみ、

うつくしさ、

そして陰陽を「ひとつ」に合わす祈りを

絵画にしていきたいと

いま静かに決意しています。




…さて、

来年の個展はいつなのでしょうか。

画廊さん、ご連絡お待ちしております…


合掌

2025/10/04

安曇野から帰りました

 

安曇野から帰りました 


安曇野の画廊バナナムーンさんでの個展は、

無事会期をまっとうすることができました。


作品を観てくださったお客様、

気にかけてくださった皆さま、

応援くださった皆さま

画廊の皆さま


誠にありがとうございました。


帰って来てしばらく経ちますが、

未だに安曇野を引きずって

日常生活を送っています。

安曇野はいつも、

静かだが強烈な体験をさせてくれます。


東京で培ったお作法が通用しない、

それが私にとっての

画廊バナナムーンという場所です。

それはまさに修行の場であり、

新たな価値を発見する場所です。

(作品を推しはかる物差しは、

幾つ持っていてもいいでしょう)


じぶんの立ち位置をぐらつかせ、

再確認させてくれる場です。

こわいです。


安曇野の自然は圧倒的で、

山々の景色は素晴らしく、

トンネルの暗さは異次元への近道。



私はあることについて気掛かりでいました。

他人からみれば、取るに足らない、

どうでもいいことです。

私にとっても実はどうでもいい事です。

なのに

「気掛かりであること」がありました。

(それは、

ある人とそのお父さんについての物語です)


けど、色々なことが「わかりました」

誰に説明を受けた訳でもなく、

わかりました。


それは誰にも言えない

私だけの極めて個人的過ぎる感覚で、

神様にしか報告できない案件とでも言いましょう。

(小説家ならとびきり面白い物語に

仕立て上げられるのに!)


おもてに出てこない面白い物語は、

個人の中にこそあるのでしょう。



2025年は、

東京と長野で個展を開催することができました。

皆さまの支えあっての画業です。


ありがとうございます


またどこかでご覧いただけるよう、

励んでまいります。

次がある、のは素晴らしいですね。

2025/09/13

ラジオにでます

 安曇野FMさんで個展を取材いただきました!


じぶんなりに原稿を用意して

作品についてしゃべりました…!

憧れのラジオに関われて嬉しいです。


——————


9/15(月)12時-14時

『おひさまサークル』

あづみ野FM76.1


13:20〜「画廊 BananaMoon 絵を聴く時間」

9/21(日)まで開催中の個展について、

会場で取材していただきました❕

パーソナリティは#水垣カエル雪絵 さんです


(水垣さんは、

誰もが聴いたことのあるCMの楽曲を

たくさん制作されていらっしゃる

シンガーソングライターの顔もお持ちです)


あづみ野FMアプリで、

日本全国どこからでもお聴きいただけます。


HPのON AIRからダウンロードできます


https://azuminofm.co.jp/


⚠️radikoではお聴き頂けません

⚠️リアルタイムのみの放送です


————

よろしくお願いいたします🙇‍♀️





2025/08/28

『たくさんのひと/花の街』によせて

 たくさんのひと/花の街

~私の中に住まうたくさんのひとたちへ~


この展示は、いくつかの表現で構成しています。



1. 群像シリーズ

あの世とこの世の境界線の風景。

たくさんの感情の蓄積。

感情に翻弄される私たち。



2、『かお』シリーズ

いまを生きるひとの内面に、

私自身の内面を投影して、

一瞬に浮かぶ表情の妙を探ります。



3、木炭画(ドローイング)

木炭の質感は画面に独特のゆらぎを与え、

表現したい絵肌(マチエール)を叶えてくれます。



4、『花の街』シリーズ

花街(遊郭)を舞台に、

花魁(おいらん)や(かむろ)たちの物語りを

描きました。

描き続けるうちに、

廓(くるわ)の世界で生きたひとたちへ

手を合わせる気持ちになり、

私の絵の中で楽しい時を過ごしてもらおうと、

描くことに弔い(とむらい)の意味が加わりました。



私の中に住まうたくさんのひとたち、

わたしはあなたを描くことで、

私や誰かの感情、想いに

「おとしまえ」を

つけようとしているのかも知れません。

(おとしまえを付けねばならないことが

たくさんあるということでしょうか…?)

あなたはわたしがもっとも見たくない

私の一部で、

シャドウのような存在かもしれません。

あなたは私の中に居座りつづけようとしますが、

そうはいきません。

あなたの椅子はもうありません。

その椅子は、私のすばらしい友人のためのものです。



いつかじぶんに決着をつけて、

清々しい気分で身軽になったら

(ということは無いのだけれど)、

あの世もこの世も

思いのままに飛び回り、

時には花の街で、

あつあつの激養強壮スープを

みんなで食べませんか。


本日は画廊までお越しいただき、

ありがとうございます。


2025年8月

門倉直子