2016/07/07

あと味



何年も前になりますが、
都内で活動する劇団の
公演のチラシを10年間くらい
描かせて頂いていました。

私が1999年に初個展した時とほぼ同じ時期に
その劇団の旗揚げ公演がありましたので、
共に成長して行くのだ〜!と、
劇団と関わることで夢が膨らんでいました。

しかし長い付き合いにもなれば
色々あるわけで、
どうにか折り合いを着けながら
楽しくやってはきたのですが、
2011年頃だったのでしょうか
最後の最後に、もめました。


「なお、いつもごめんね」
そう言われて、
いつもの苦笑いを浮かべて居ればよかったのでしょうが、
ある時期から
「舐められたくない」という気持ちが優位になりました。

劇団のメンバーには、学生時代の先輩友人もいましたから、
「まぁいいじゃあないの」と
大目に見ることだって出来たはずでしたが、私は
「友人」ではなく「仕事人」として
劇団の人と接するようになっていました。

少し調子に乗っていたのかも知れません。
うるさい画家になっていたことでしょう。

そんな流れの中で、
ついに私の堪忍袋は破裂しました。
とは言っても、
私個人の力ではラチが明かず
共通の大人の知人に仲介をお願いして、
もめ事は時間をかけて「解決」はしたものの、
あと味の悪さは残ってしまいました。
(何故だか感じなくてもいい罪悪感を今だに少々感じております)


「私が我慢すれば…」などと
泣き寝入りして、
仲間として楽しくやっていれば良かったのか、
嫌われても関係が壊れても
「仕事人」の意地をかけて良かったのか、
今でも悩ましいところですが、
私は仲間にウザがられてでも
職業画家で居たかったのだなぁと、
未熟なくせにプロ風を吹かせてみせた
当時の自分を省みるのでした。

立場や意識が変わると
人間関係もガラリと変わる。
イヤな奴にも、なる。


現在、劇団名義の公演は打っていないようですが、
メンバーから有名な人も輩出されたり、
ワークショップで若手の指導をされたり、
司会業や役者など、
個々に活躍されていると噂を聞くと、
お〜!と嬉しくなります。
揉め事の最後の処理にあたってくれたメンバーの方は、
過日の個展を見に来てくださって、
そのあっけらかんとした
底抜けの明るさと優しさに救われました。
気不味さを越えて、
よくぞ来てくださいました。



芝居作りに関われる喜び。
ワクワク。
もうあのような「青春」は
体験出来ないかも知れませんが、
演劇人の放つ独特な魅力は
私に力を与え続けてくれます。

負けないよ。